猫ちぐらの夕べを観たオタクの嗚咽 前哨戦
──11月末。
私には大切な予定があった。
飲み会? 違う
デート? 違う
旅行? 違う
まぁそのアレなんだよ
そう、
スピッツのライブである。
MIKKEのホールツアー。
しかし──
ライブ・延期
(振替日未定)
まぁ知ってる人もおるやろう。
2回目の延期である。
泣いた。正直に言おう、泣いた。
3月末にリスケ案内された時以上につらい気持ちになった。
というのもまぁ、春頃に出た劇場関係の規制が10月からちょっと緩和されるよ〜っていうアナウンスがあったので気持ち的に「こ〜れは、スピッツ、いけるな!!」ってくらい楽観していたから。
だからこそだ。
私はとても楽しみにしていたのだ。
そう、
「あ、ロックコンサートの客席収容率は50%以下のままでよろしく(意訳)」
という一文を見るまでは。
つらいとかじゃなくて、
キレたわ。
⚠︎諸注意⚠︎
・ごめん、いっぱい書いてたらコンサート始まらなかった。
・なのでこれは序章です。
いや〜〜〜
スピッツにはキレてない。
己を律しきれない自分にはキレた。
泣いたというか、お知らせを見るなり
「え、え〜〜〜〜〜〜〜!?!?
え、あ、あ……
ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙……
……ぐす、エウンン……
………………は?」
と叫んで転がって泣いて、一周回ってキレてた。
念の為に言っておくが、
キレたのはスピッツに対してじゃない。
なんかもうそんな感じ。
ぴすぴすどころじゃなく、えぐえぐ泣いて転がってキレて1日くらいツイートせずに沈んでたら「そそふぁい死んだかと思った」「ツイ廃なんだからツイート止まったら死んだと思うだろ」「タイミングがタイミングだったから死を覚悟した」など心配の言葉を浴びせられました。
次の日には復活……いや、してませんけど……?
でも私はツイートをやめられない女なので……。
ぶくぶくしながらツイートしてた。
もうさ、それでこう、なんか、失うじゃん。
こんな世の中でさ、やっぱみんな「〇〇のイベントまで生きる!」って思っててさ、頑張ってたじゃん。
無理じゃん。
髪質がガシガシになるじゃん、食欲無くなるじゃん、……。一応「中止じゃなくて延期、延期やからいつかきっとやる」って気持ちはあったから最低限の生活をしてたんですけど。
はぁ、でもどうするよ。
どう生きるよ。最低限のままでいいわけ?
こっちもつらいけどさ、スピッツもつらいに決まってんじゃん。つらいけど諦めてないからこその「延期」じゃないですか。
スピッツ好きになってまだちょっとしか経ってませんけど、スピッツが年間でいっぱいライブしてるバンドだってのは調べて知ってるわけで、むしろこれ私の心配よりスピッツの心配するべきなんちゃうんか? なんて思いまして。
そんなある日
【LIVE/EVENT】一夜限りのコンサート開催決定!https://t.co/RvFrq7TGHN #スピッツ #SPITZ #猫ちぐら #猫ちぐらの夕べ #見っけ #草野マサムネ #三輪テツヤ #田村明浩 #﨑山龍男
— SPITZ mobile (@spitzmobile) October 12, 2020
……え?
時止まった。
その後「えっまっ」「まじ?」「まって、」とツイートするくらいの余裕しかなかった。
コンサート「猫ちぐらの夕べ」、始動。
え……
ほんとに?ほんとにまじ?ほんとに????
五百度見くらいした。
音読した。
寝っ転がって読んだ。
1回閉じてまた開いて見た。
ほんとじゃん!?!?
ウワアアアアアアアアヤッタアアアアアアアアア!!!!!
嬉しすぎてその日の買い出しで新しい靴買ってしまったし、世界が輝いてたから鼻歌歌いながら窓拭き掃除したし、部屋中クイックルワイパーもした。
スピッツってすごい。
コンサートの告知をするだけでそそふぁいの経済が回り自室が綺麗になる。
・・・
東京ガーデンシアターの素のキャパが8000で半数以下なので今回はMAXで4000だな!!
まぁ他にも色々したらもうちょい減るよな!!!
全国の選ばれし約4000人に俺はなる!
任せろ任せろ、今年は大吉なんだ。
実家の近くの神社で大吉の御籤引いたし。
いけるいける。
よーーーーし!!!!
いや、無理ですよねって。
チケット大戦争、全敗
そんなことある?(ある)
有料配信があってよかった。
有料配信がなかったら泣いていた。
この時ほど有料配信というものに感謝したことはない。
サンキュースピッツ。
やっぱ最高だ。
知ってたけど最高だよ。
なぁ、現地組、
楽しんできたか!?!?!?
楽しんできたよな!?!?
コンサートの終演時間だろう頃に有料配信のご案内が出される。
熟読した。音読もした。
自宅で映画館!?!?
おうちぐら!?!?
ほ、ほーーーーん。
よく分からんけど、やるわ。
いつも仲良くしてるフォロワーたちと「どうする!?同じ時間のやつ狙って観る!?」とお互いのシフトをふわっと擦り合わせ、
「この日まで仕事で死んでる」
「その日なら合わせれる」
「じゃあそれで」
と、1人のフォロワーと予定が合致。
その日とは、
──12月23日 19時。
へへ、ついにマジの最新スがスえるんだな…
待ってた…。
とニヤリを交わしながらじっと待つ。
「……ところで、」
と、私の中で疑問が湧いた。
「今回のコンサート、どんな感じなんやろ」
あれだけ「ライブ」という表現をしてきた彼らが徹底的に「コンサート」というの、何かしらの意図はあるんじゃないか。
意図っていうか、意地?
ベルゲンの会報誌を読んでベルゲンの民は「わかる……」と思っただろう。
彼らも、生で音楽をやる機会が欲しいとずっともがいていたことを。
今回のスピッツ、どうなるんだ。
え、
ワールドトリガーだったらどうしよう。
いやもう何言ってるかわからないと思うんですけど、そういう事件があったんですよ。
その死亡報告はこちら。
きっと新しい何かを携えてやってくるに違いない。
それだとしても私は美味しく楽しむことができる。
そうやってやってきた12月21日。
猫ちぐらの夕べ 上映1日目。
フォロワー(ではない)から、一通のDMが届く。
「ワでした」
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
23日。
午前中に起きて布団を干す。
18時半にはすべての支度を終わらせなければならない。
洗濯を2回回した。
トイレの掃除もした。
いつもより2時間早くごはんを炊いて
2時間早くシャワーを浴びて
1時間半くらい早く晩ごはんを食べ終わった。
音楽を流してスピーカーの調子を確認する。
せっかくなのでベッド脇のランプをつけ部屋の明かりを消す。
トイレも済ませたし、飲み物も一応準備した。
ノートを広げて、滑りのいいボールペンをその上に置いた。
19時になった。
暗転する画面の中、どうしてもランプが鬱陶しく思えて、それすらも消す。
部屋の中で一人、TVの明かりだけが私を照らしていた。
じわじわと変わりゆく画面の中を見て、そっと息を吐いた。
「スピッツ。……私はね、」
・・・・・・
次回へ続く。